竜宮城に帰りたい。
夕陽、沈むところまで見ていきたいなー。
横から注ぐ光に目がくらむ。
遮るものがないって、ちょっとすごい。
東京に住んでるが故の感想だなー。
しばらく波打ち際を歩いていると、人の影が見られないところまで来てしまった。
やば、プライベートビーチとかだったかな…。
そろそろ引き返そうと振り返ると、浜辺より少し高くなっている舗装道路からぴょんと人が飛び降りてきた。
嘘!怒られるかも…。
「あの、すいません…。少し道に迷ってしまって…」
その人は、ずんずんとこちらに近づいてくる。
「ご、ごめんなさい!」
謝っても止まる気配がない。
何?まさか不審者!?
やだ!逃げなくちゃ…。
走り出そうとしたその時、見たことのある顔が夕陽に照らされた。
「あれ、さっきの…」
と、思い出した途端に、サーっと血の気が引いていった。
「お、お化けーー!!」
「は?」
私が逃げようとすると、そいつに腕を掴まれ、引き止められた。