竜宮城に帰りたい。



そして残された30分はあっという間に過ぎてしまった。



でもまだ、晴とちゃんと話せてない……



「おねえちゃん、もう電車来るって。」


「あ、うん…」



横目で晴を探すと、

お土産売り場で買ったお煎餅をバリバリ食べていた。


こんな時でも、晴は晴だなぁ。


そんな姿がたまらなく可笑しかった。




電車が大きな音をたてて、ホームに滑り込んでくる。


あと3分。



私とゆかりは改札の中に入った。


他のみんなは改札の外。


電車の扉が開いた。




「バイバーーイ!」


ゆかりとみんなが手を振り合っている。



あと2分…




「は、晴!!」



私の呼び掛けに、晴は顔を上げた。


他のみんなは黙って私の次の言葉を待っている。




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