竜宮城に帰りたい。



「あの…東京で待ってるね…」


「ああ。」



晴は新しいお煎餅を口の中に入れた。



「わ、私!この町大好きだよ!」


「ああ。」



ちょっとーー!!

会話する気あるの!!?



「おい、乙姫ーー!!!」


「ぶふぉっっ!!!」



晴は食べていたお煎餅を吹き出した。



「きったねぇーのぉ!お前!」

「ちょっと、かかったんやけど!!」



「だ、だって…あいつが…ブハッ……」



「お姫様気取ってないで、

たまには必死になってみろーー!」



「澪ちゃん、何言っとんな?」

「さぁ…」



「そんなんじゃ、

浦島太郎逃げてくからなーー!!」




晴は残っていたお煎餅を飲み込むと、

改札から離れてこっちへ向かって走り出した。




「え、晴…?」

「何しよんな!?」



晴は助走をつけて、改札を軽々飛び越えてしまった。


あと、1分。




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