竜宮城に帰りたい。
「晴……。」
晴は目の前まで来て、止まった。
「お前、ほっこ(バカ)な?
あなん恥ずいこと、よぉおっきょい声で叫べるのぉ。」
「だって、晴が最後の最後までぶっきらぼうだから……」
「帰り際に泣いてすがったら引くやろ。」
「ふふっ……たしかに……。」
電車の発車ベルが私たちを急かす。
「あー、帰したくないのぉ。」
「っ……////、うん。」
「なぁ、浦島よぉ。」
「なん……ですか?乙姫様。」
晴はニヤリといつもの不敵な笑顔を浮かべた。
「俺、これでも必死なんやで。」
「そうは見えませんけどね。」
「ポーカーフェイスなんや。」
「そんなの、なんのメリットもないですよ。」
「……。」
「お、おねえちゃん!発車しちゃう……。」
ゆかりが焦ったように私を呼んだ。
あと10秒。