竜宮城に帰りたい。
「"乙姫!"」
「"浦島さま。どうかこの玉手箱をお持ちください…"」
「"どうもありがとう。
この玉手箱を見て、君を思い出すよ…。"」
わー、やっぱり早月、演技上手だな…。
「あ、早月やってるね!」
「っ!ゆり!!久しぶり!!」
「久しぶり!わ、澪焼けてる~!」
「えへへ…
ちょっとおばあちゃん家行ってて…」
ゆりは明るく笑った。
なんだか前よりもゆりを見る気持ちが楽になったな。
前は早月を巡って一方的に嫉妬してたけど…
今は気持ちが軽い…。
「へぇ~、香川県か!
写真ないの?」
「あ、これとか!」
私はホーム画面の集合写真をゆりに見せた。
「わ、これ友達?
この人かっこいい!!」
ゆりが指差したのは、晴だった。
「うん、そうだね……」
「えっ!えっ!!
も、もしかして!!澪!!」
し、しまった!!
「彼氏できたの!?この人!?」
「ち、違うよ!ただ…好きな人ってだけで…。」
「そっかそっかぁ!
いっつも恋ばなしても聞く専だった澪が!
たしかに、ちょっと澪、雰囲気変わったかも。
焼けたからかと思ったけど、恋のパワーだったか!」
ゆりは大きな声で笑うと、
私をぎゅっと抱き締めた。
わー、なんか嬉しい!!