竜宮城に帰りたい。
「早月!?」
「え、早月ちゃん。どうしたの?」
「わかんない、急に座り込んで…」
身を屈めて、早月の顔を覗くと、
青ざめた顔で震えていた。
「ごめん…昨日から熱っぽくて…」
「っ……」
早月はポツポツと涙を落とした。
「大丈夫。大丈夫だよ、早月。」
私は早月の背中をさする。
どうしよう……
どうすれば……
早月の周囲に人が集まってきた。
「おい、これ…どうするんだよ。」
「本番まであと15分だよ!?」
「誰か…代役…。」
「いや、あんな多い台詞覚えてるわけないし…」
クラスメイトの間に焦りと不安の空気が流れ始めた。