竜宮城に帰りたい。
「あ……」
お客さんが体育館から出終わったのか、
舞台の幕が上がっていく。
「そろそろ私たちも出よっか。
次のクラスの準備もあるし…」
文化祭委員の掛け声で、
みんなが片付けを始めた。
そんな中、私は上がりきっていない幕をくぐって、
慌てて舞台から下りる。
観客席のまばらになった人の中から、
目当ての人はすぐに見つけることができた。
「晴……!!」
私は走り寄って、思いっきり抱きついた。
「うお、重いのぉ。太ったんな?」
「バカ……!!」
私は涙で滲む視界も気にせず、
満面の笑顔で笑った。