竜宮城に帰りたい。



「あ……」


お客さんが体育館から出終わったのか、

舞台の幕が上がっていく。


「そろそろ私たちも出よっか。

次のクラスの準備もあるし…」


文化祭委員の掛け声で、

みんなが片付けを始めた。



そんな中、私は上がりきっていない幕をくぐって、

慌てて舞台から下りる。




観客席のまばらになった人の中から、

目当ての人はすぐに見つけることができた。




「晴……!!」




私は走り寄って、思いっきり抱きついた。




「うお、重いのぉ。太ったんな?」



「バカ……!!」




私は涙で滲む視界も気にせず、

満面の笑顔で笑った。




< 204 / 236 >

この作品をシェア

pagetop