竜宮城に帰りたい。
私が落ち着くと、晴は私の手を握り、歩き出した。
「どこ行くの?」
「え、謝る。」
「へ!?」
「さっきの女。
おとましかったが、謝らんと、お前がいじめられるかもしれんやろ。」
「えっ、そうなの!?」
「ははっ…のんきやのぉ。」
どっちがだ!
「んー、こっちゃかのぉ。」
晴は私の手を引いて、校内をずんずん歩いていく。
初めて来たはずの場所なのに、
まるでその足取りは夜の丸山島のそれと変わらない。
神様みたいな存在感に、やっぱり人はよけていく。
晴も…やっぱり晴だなぁ…。
「お前のクラス、ここな?」
「えっ、うん!」
私がボーッとしてる間に、
私が案内する必要もなく、私のクラスにたどり着いてしまった。
「失礼しまーす。」
晴がためらいもなくガラッと扉を開けると、
クラスメイトの視線が一気に集中した。