竜宮城に帰りたい。
***
「てゆうか、何、あれ。」
「あぁ、女騙すのやこし、簡単やろ。」
「私はあんなのに騙された訳じゃないからね!」
「え、ああ。
お前にはあなんことしとらんやん。」
「も、もしされても……
カッコいいかもしれないけど…私は、
もっと子供っぽくて、弱い晴も好きになったんだからね。」
「…………。」
晴は、コホンと咳払いをした。
「そんな風に照れ隠しが下手なところとか!」
「ホント…お前って……」
私がクスクスっと笑うと、
晴は繋いだ手を握る力を強めた。
「??」
「ああ、ここでええ。」
「え?何?」
晴は私を資料室の中に引っ張りこんだ。
そこは文化祭が行われているエリアから離れていて、
ほとんど人がいない廊下の隅にあった。