竜宮城に帰りたい。
「え?何…?」
「さっきの女が追っかけてきても、おとましいけん。」
「そっか……」
晴はよっこいしょと窓際の椅子に座った。
私もその隣に座り、外を見る。
外には小さな夕日が建物の隙間からのぞいていた。
「東京はどう?晴。」
「おっきょい駅はすげぇがの、
思ったより普通や。」
「そうでしょ?」
「でも……」
晴は外に向けていた顔を、私の方に向けた。
「お前のおる東京は…楽しいかもしれん。」
「……うん……。」
晴は私の目をじっと見つめると、
また外に顔の向きを戻した。