竜宮城に帰りたい。



今日、再会してから散々念を押された。


『友達』って。


晴はやっぱり、私と付き合うつもりはないみたい。


まぁ、分かりきってることだけどね。



「えっと……今日はどこ泊まるの?」


「池袋とかで安いホテル探すわ。」


「そっか。」


「なんな?来たいん?」


「は!?

そんなわけないでしょ。」



晴はまた私の方に顔を向けた。


冗談を言っているのかと思ったけど、

その顔が予想外に真剣で、言葉がつまる。



「来いよ。」



なんで……この人は…



「っ、いい加減にしてよ!!」



私は勢いよく椅子を引いて立ち上がった。



「晴は勝手だよ!

私の気持ち知ってるんでしょ?

私は『友達』なんでしょ?

なのに、どうしてそうやって……」


「……。」


「晴と別れてから1ヶ月……

本当につらかった。会いたかった。

晴がキスなんてするから…!!」


「キスしたのが悪かったん?」


「っ、そうだよ!

フラれたままなら期待なんてしなかった。

なのに……キスして、再会できたと思ったら、友達友達って……

残酷だよ。」



私は涙が出ないように唇をギュッと噛んだ。




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