竜宮城に帰りたい。
どこかから音楽が聞こえてくる。
きっと、軽音楽部の演奏だ。
早月と見ようって約束してたやつ。
「晴、どっちかにして。
期待したまま傷つき続けるのはもうやだよ……。」
晴は表情を変えず、目だけを細めた。
「お前は単純でええのぉ。」
単純?
「なんのこ…っ……んっ……」
晴は、答える代わりに何度も私にキスをした。
座り込んでも、晴はキスをやめない。
何度も何度も、私の質問に答えるようにキスを続けた。
**
「どうして?」
「あ?」
何分そうしていたかは分からない。
息が苦しくなった頃、私は晴に尋ねた。
「どうしてキスしたの?」
「したかったけん。」
「……。」
やっぱり……ダメか。
「もう、会いに来ないで……」
「やだ。」
「じゃあキスしないで!」
「やだ。」
「やだやだって、私、さっき話したよね?」
晴は熱を帯びた視線で私を見つめると、
また顔を近づける。