竜宮城に帰りたい。
「は、晴~!」
「なんや!」
「ギュッてしてもいい?」
「さっき自分からちゃっしゃげよったくせに。」
私は晴の悪態を無視して、
その胸に飛び込んだ。
「大好きだよ、晴。」
力強く抱き締めると、晴も抱き締め返してくれる。
私、今きっと世界で一番幸せだ。
「のぉ、澪。
お前は俺と別れてから何考えとった?」
「え……」
毎日毎日、私の頭の中はずっと…
「晴たちのこと、あの町のこと…
忘れたくても忘れられなかった。」
「俺もや。」
「え!」
「お前のことばっか考えて、
勉強もなんも中途半端やった。」
嬉しい…。
晴も私と同じ気持ちだったなんて…
「せやけど、お前と付き合わんで、よかったとも思った。」
「なんで……っ」
「付きおうたら、俺が好きだって言ったら、
お前もこなん風に日常に集中できなくなると思ったけん。
毎日どころか月に一回会うこともできんのに、
そなん状態にさせられんやろ。」
晴は優しく私の頭を撫でる。
不安そうに撫でる。
その暖かい手に、私の心臓はギュッと縮んだ。
「そんな……一人で抱え込まないで…!」
私は抱き締めていた腕をほどき、
晴の顔を見上げた。