竜宮城に帰りたい。




「はぁ~、遠恋かぁ。」



軽音楽部のライブの音も消えた頃、

私も晴も落ち着きを取り戻した。



「遠恋?

まだ付き合うとは言っとらんよ。」


「え!!?」



嘘でしょ……


まだ付き合っちゃダメなの…?



私がシュンとしていると、

晴はぶっと吹き出した。



「そなんあからさまに落ち込むなや。

じょーだんやって!」


「なっ!!

なにその趣味悪い冗談!」


「はいはい。

そなん俺が好きなお前も十分悪趣味やけん。」


「っ……!!」



ああ言えばこう言う!!


晴は一通り笑い終えたようで、

ほとんど沈んでしまった夕日にため息をついた。




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