竜宮城に帰りたい。



日が完全に沈んだ頃、


キーンコーンカーンコーン


文化祭一日目終了のチャイムが鳴った。



「あっ、もうこんな時間か……」


「教室戻らんでええんな?」



携帯を見ると、クラスメイトから召集命令がかかっていた。



「戻らないと……」


「俺は帰る。」


「えっ……

えっと、明日は…!?」


「明日はオープンキャンパス行ってくる。

そのあとは夕方の新幹線のチケット取ってるんや。」


「えっ!!」



そんな……

せっかく晴が東京にいるのに…

もう会う時間ないってこと!?



「晴……!

わ、私…まだ…」


「俺はもう行くで。

お前もクラスの和、乱すなや。」



っ、晴にだけは和とか、言われたくない!



「だって、今日が終わったら、またいつ会えるか…」


「大学受かったら毎日でも会えるんや。

今あんま一緒におったら飽きるやろ。」



ガーーーン!!



飽きる…

そっか…飽きる…



「くっ……ははっ、

お前はのぉ、まんで真に受けすぎなんや。」


「へ……」



私が顔を上げると、

晴は今までとは正反対の

優しい優しいキスをした。




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