竜宮城に帰りたい。



「まぁまぁ。嘘やけんの。

あの女追い払うためやって!」


「絶対本心だぁ…」


「ははっ…」



晴はまた楽しそうに笑うと、

鼻唄を歌いながら講堂に向かって歩き始めた。



「何さ、鼻唄なんて歌って…」


「楽しいんやもん。」


「へ……」


「楽しゅうてしゃあないの。」


「……。」



なんか、そんな風に言われたら……



「もうっ、しょうがないなぁ。」


「それでこそ澪や。行くで。」



晴は私の手を引いて歩き始めた。



晴は相変わらず晴で、

大学の入学式でもお構いなしで彼女と手を繋ぐところとか、

行く道、人が避けるところとか、

変わっていない。




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