竜宮城に帰りたい。



「おはよう、おばあちゃん」


「おはよう、澪ちゃん。
ゆかりちゃんはまだ寝とるん?」


「うん、そうみたい。」


「そう、先に朝ごはん食べてまいー」


「はーい」



我ながら気の抜けた返事をして、一旦洗面所に向かうと、
コンコンッ
と何かを叩く音がした。


怖がりの私が恐る恐る音のした方を見ると、
窓の外に満面の笑顔で手を振る祐くんがいた。


嘘!!
まさか昨日の約束もう実行しに来たの!?


私があたふたしていると、祐くんは「窓を開けろ」というジェスチャーをした。



「しょうがないな…」

窓を開けようと近づいていくと、祐くんの後ろに人影があることに気がついた。




ハルだ。





「よう、おはよう。」

「お、おはよ…」

「遊びに誘いに来たでー」

「え、もう!?さっき起きたばっかりなんだけど…」


ってそういえば、私パジャマのままじゃん!

恥ずかしい〜


「ほんだら、はよ飯食ってこ」

「何…?一体どこ行くの?」

「内緒ー」


祐くんがいたずらっ子みたいにそういうから、私も思わず口角が緩んでしまった。


「お、笑っとる」

「え…、何?」

「いや、笑ったん初めて見たなぁと思って。」

「あはは…」

「ま、とにかくはよ準備し。」

「うん…」



あんまり意欲はないけれど、ひとまず駆け足で洗面所に向かった。




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