竜宮城に帰りたい。
「あー、入学式って久々にやったけど、
あなんつまらんかったかのぉ。」
「晴、ずっとあくびしてたもんね。」
「んー、眠い。
もう今日終わりな?帰るかえ?」
「んー、そうだね…。」
「サークルの勧誘がえげつないのぉ。」
カフェテリアの外に見える正門までの道は、
チラシをもった先輩とあたふたする新入生でぱんぱんだ。
「もう少し待つ?」
「いや、行く。
腹へったし、眠い。」
晴は勢いよく立ち上がり、外に出た。
私も慌ててそのあとを付いていく。
うっ、間近で見るとすごいな…
つぶされそう…。
「お、君新入生!?
テニス興味ない!?」
「へっ、あ、あの……」
早速声をかけられ、あたふたする。
ど、どーしよ……。
晴ー!
晴を仰ぎ、助けを求めると、
やっぱりな、とでも言いたげに、私を見下してきた。
「お、君かっこいいね!
テニスやったらモテるよ~。」
先輩のラブコールに晴はにっこりと笑顔を返した。
「これ以上モテたら困るんで、遠慮します。」
晴は憎たらしい断り方で、先輩を撒き、
私の手を掴んで早歩きで中央突破した。