竜宮城に帰りたい。



「こーゆーんは、堂々としとけばええんや。

上級生と思うやろ。」


「な、なるほど……」


「お前はああいう押しに弱そうや。」


「大正解です……。」


「お人好しも大概にし。」



晴の家にはものの15分で着いてしまった。


すごい好立地……



「はぁ、疲れた。」



晴はどかっと真新しいソファに座り込んだ。



「そういえば、みんなも今日で就職、進学だってさ。」


「就職ゆうても、家継ぐだけやん。」


「まぁそうだけど……」


「……。」



晴は窓の外の狭い空を見上げている。



「晴…ホームシックになった?」


「は?なわけあるか。」


「そう?私は恋しいな。あの町…。」


「ふーん…」


「こっちの海は泳げないんだよ?」


「へぇ~」


「一番近い山は、電車で2時間だよ?」


「安心し。ちゃんと、卒業したら連れ帰ってやるけん。」


「っ!!」



ちゃんと……覚えてたんだ……。




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