竜宮城に帰りたい。
「せっかくやし、澪ちゃんにこの街案内してあげようや。」
「あ、それええな!」
「ちょ、ちょっと待って!
そんなことしてくれなくて大丈夫です!
私のことより、みんなが行きたいところに…」
慌てて祐くんの提案を否定すると、瑞季ちゃんが唇を尖らせて私を睨んだ。
その様子さえ、可愛く見えてしまう。
「ええの!私たちも暇やったけん、澪ちゃんのこと案内したい!」
「え…、でも…」
「ほっとき。」
その時、割って入ったのは意外にも晴だった。
「こいつはいっぺん言い出したら簡単には止まらんけん。」
「でも、きっとつまんなく…」
「っつ…、うっせえのぉ」
「……へ…?」
なんか、今聞いちゃいけない言葉が聞こえたような…。
「うっせえっつっとんじゃ」
周りに聞こえるか聞こえないかぐらいの大きさの声で
晴がボソッと呟いたその言葉に、私の身体は凍りついた。
「ご、ごめんなさい…」
ど、どうしよう。
怒らせた…。
私がしつこく遠慮したりしていたからだ。
嫌な汗がどんどんと出てくる。
晴の一言以降、他のみんなの会話はほとんど耳に入らず、
あっという間に私の観光計画が立ってしまった。