竜宮城に帰りたい。



「よし!ほんだら今日は定番の浦島伝説の浜に行くで!」


「浦島伝説…?」


「そ!知っとるやろ?浦島太郎。
ここら辺はな、浦島伝説で有名なんやで。」


「へぇ…」


知らなかった…。

じゃあ、竜宮城ももしかしたらこの辺の海の底にあるかもしれないってこと?



そんなロマンチックなことを考える暇もなく、
私は瑞季ちゃん達に浦島伝説の伝わる浜へ連れて行かれた。



***


「ここが…?」

「そうそう!」


数十分後、連れてこられたのは、昨日ゆかりと一緒に来た浜のすぐ近くだった。


「あの島。あそこで浦島が亀助けたんやで。」

「そ、そうなんだ…。」


瑞季ちゃんが丁寧に解説してくれるけど、
どうリアクションを取ればいいのかわからない…。


「干潮になるとなぁ、島まで続く道ができるんや。」

「へぇ〜…」

「めっちゃ綺麗なんやで。」

「うん…。」



確かになんだか神秘的な島だ。

今は観光客でいっぱいだけど、
誰もいない朝、あの島に道が続いている様子を想像すると鳥肌が立つ。


「すごいね…。」

「……喜んでもらえてよかった!
せっかくやし、泳ごうで。」

「うん!」



私は持ってきていた水着を持って更衣室へ向かおうとする。

「え、瑞季ちゃん!?」


しかし、瑞季ちゃんはその場でTシャツを脱ぐと、その下に着ていた水着の姿で海へ向かって走って行ってしまった。


「すご…」


昨日のゆかりと同じ行動をするもんだから、ついつい笑ってしまった。




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