竜宮城に帰りたい。
「笑った。」
「!?」
声のした方を向くと、そこにはいつものように仏頂面の晴がいた。
「…っ、何よ…」
さっき怒らせた手前、なんだか話しづらい。
「もっと笑やぁええのに。」
「だって…緊張して…」
「緊張?あほくさ。」
ムカッ…
どうせあんたは緊張なんかしたことないんだろうけどさ!
私はあんたと違って繊細なんだよ!
「あいつ。ええやつやろ。」
「え?瑞季ちゃん?」
「そ。」
ズキッ…
は?『ズキッ』?
「うん!優しい!あんな完璧な子、今まで会ったことないよ。」
私は訳のわからない胸の痛みを感じ、慌てて自分をごまかした。
「……」
私の言葉に返事はせず、晴はじっと私の顔を覗いてきた。
なんかやだ。
見られたくない。
こんなに性格捻じ曲がってるくせに、なんで目だけは澄んでるんだ…。
まるで私の汚い部分を見透かされているような気分になる。