竜宮城に帰りたい。
「明日は浦島太郎の浜に行くの?」
ゆかりが起きていたようで、暗い中私にそう尋ねた。
「聞いてたの?
うん、そうだよ。」
「浦島太郎の浜なんて面白いのかな…。」
「みんなが案内してくれるからきっとゆかりも楽しいよ。
それに、すごく綺麗なところなんだよ。
あ、一昨日二人で行った浜にも近くてね…」
「そんなに今日楽しかったの?」
ゆかりにそう聞かれ、自分が今までにないくらいペラペラと話していたことにハッとなった。
「……
うん。」
「ふ〜ん。
じゃあきっと楽しいね。」
ゆかりは一方的にそう言うと、「おやすみ」と眠ってしまった。
何よ…。
もうちょっと話してくれてもいいのに。
少し寂しくなったが、仕方なく私も目をつむる。
明日、楽しみだ。
早く会いたいな。
晴
……「っっじゃない!!!」
「もう、何〜!?
おねえちゃんうるさい!」
「ご、ごめん…。」
今度は私と反対方向にゴロンと向きを変え、ゆかりは眠る体勢になった。
一方私は眠るどころじゃない。
なんで晴!?
好きじゃないって言ってるじゃん!
いや、別に誰にも言ってないけどさ。
ちょっと待って、落ち着け。
きっといつもと違う環境に来て、混乱してるだけだ。
好きじゃない。
まだ大丈夫。
まだ…ね。
私は深く深呼吸をして、再び目を閉じた。