竜宮城に帰りたい。
翌朝ーー
やはり約束もしていないのに、晴たちは朝からうちを訪ねてきた。
「おはよー」
「おはよう。晴、祐くん」
昨日の今日だというのに、晴は私を泣かせたことなんて一ミリも覚えていないようなふてぶてしさだ。
もちろん挨拶なんて返さない。
でも今日は準備万端だし、こっちも晴に文句を言われる隙はなかった。
「今日はさ、妹も連れてまたあの浜に行ってもいい…かな?」
ちょっと図々しかったかな…。
昨日妹の前では得意げに今日の予定を話していたが、
いざ他の人たちを前にすると足がすくんだ。
「もちろん、ええよ」
祐くんがにっこりと笑って答えてくれたので、
「ありがとう」
と平然を装って答えたが、内心かなりホッとした。
調子乗ってるとか思われなくてよかった…。
「なぁ、お前ら、自転車あんな?」
「え、自転車…?」
「あの浜、ちょっと頑張ればチャリでも行けるけん。」
「ちょっと待って、おばあちゃんに聞いてみる…」
私がおばあちゃんに自転車のありかを聞いている間、
ゆかりは照れ臭そうに晴たちに自己紹介をしていた。