竜宮城に帰りたい。



『元気?
こっちは蒸し暑くて部活死にそう。(´Д` )』


他愛もないこんなメッセージがすごく嬉しい。

香川に来てたったの三日だというのに、
すごく久しぶりに東京の友人の存在を思い出したような気がする。


なんかこわ…

こうやって人間って物事を忘れるんだ…。


つい最近まで会っていたなんて嘘みたいに、友人を遠い存在に感じた。


『元気だよ!
おばあちゃん家結構楽しい♪( ´▽`)
部活頑張れ!p(^_^)q』


あ、写真載せよう…。

海を画面の中いっぱいに映し、シャッターボタンを押した。


うん!綺麗に撮れた…。


「おねえちゃーん!」


声のした方を向くと、ゆかりがこっちに向かって手を振っていた。


「おねえちゃんも海ー!入ろー!」


ちらっと晴の方を見ると、無表情でこっちを見ていた。

別に、ゆかりが呼んだから仕方なく、ね。


誰も聞いていないのにそんな言い訳を頭の中で唱えて、
「すぐ行く」
と言って、公衆トイレに着替えに走った。




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