竜宮城に帰りたい。



「待って!晴!!」

「何や。」

「…っあ…そ、その…」


なんで…?
こんな暗い中海に入ったら危ないに決まってる。


さすがの晴でも…




ドキッ…

あの夕陽を見たときのような感覚がまた戻って来た。


晴に初めて会った時も思ったんだ。

この人は異質だと。

近づいてはいけない人種なんだと。


そう思った理由がなんとなくわかった気がする。


おばあちゃんを含めた周りの大人にも、同年代の友人にも、
この地域全部に
晴は守られている。


大切にされて愛されているのに、
晴はなんか寂しそうで…


だからとても浮いて見える。



まるで、竜宮城の中の乙姫様のようだ。

いや、全く似合わないんだけどね…。




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