竜宮城に帰りたい。
「ただいまー…」
「おかえり、おねえちゃん」
一足先に夏休みを迎えていた妹のゆかりがテレビを見たまま返事をした。
妹は小学4年生。
私とは真反対の明るい性格で、友人も多い。
時々、妹にさえも劣等感を抱くことがある。
「お昼ご飯食べたの?」
「うん。冷凍。」
「たまには自分で作ってみればいいのに。」
「めんどくさいんだもん…。
それよりひまだな〜」
ゆかりはござの上をゴロゴロしながら唸った。
「宿題でもしなよー」
「それだけはヤダ〜」
「じゃあこれからどこか…」
プルルルルル……
家の電話が鳴り、飛びつくようにゆかりが受話器を取った。