竜宮城に帰りたい。
「おねえちゃん、何お願いした?」
「ん?
みんな元気でありますようにーって。」
「私はね、早く身長が伸びますようにーって。」
「ゆかり、十分おっきいのに。」
「クラスで一番大きくなりたいの!」
ゆかりは目をキラキラさせてそう言うけれど、
両親が小さい以上あまり期待できない。
事実、私も155センチで成長は止まっている。
「お前なんや。
みんなの元気お願いするとか、アホやのぉ」
「っな…!」
こんな失礼なことを言うのは奴しかいない。
「べ、別にいいでしょ、晴。」
今朝あんなことがあったのに、もう平然と私に話しかけられるなんて、
やっぱりあの言葉にそんな深い意味はなかったんだ…。
「いい子ぶっとらんで、もっとスタイルよぉなりたいとか祈ったらわ?」
「それ…遠回しに寸胴って言ってるよね…」
「なんや、賢いところもあるやんか。」
「〜〜〜っっ!!晴!!」
晴はいたずら少年のようにゲラゲラ笑うと、集団の先頭の方へ歩いて行ってしまった。