竜宮城に帰りたい。



3つ目の目的地は出釈迦寺(シュッシャカジ)。


そこに向かう途中、
近くの定食屋さんに入り、私たちはお昼ご飯を食べることにした。



「どう?楽し?澪ちゃん。」


そう言って私の隣に座ったのは瑞季ちゃんだった。


「う、うん!楽しい。
本当にありがとう、瑞季ちゃん。」

「そっか!よかったわ〜」

「えっと…瑞季ちゃんは何度もお寺に来たことあるの?」

「うん、遠足とかでな。
でもおっきくなってから見ると、また違うんやね。面白いよ。」

「そうなんだ…」

「東京はどなんとこ行くんな?」

「えっと…中学では国会議事堂とか、浅草も行ったな。」

「へぇ〜!やっぱすごいのぉ、東京は!」


瑞季ちゃんが目を輝かせてそう言うから、
私は思わず笑ってしまった。


「あー!澪ちゃん、バカにしとるやろ!」

「ち、違うよ!なんか可愛いなって。」

「え〜、ほんま〜?」


私が何度も頷くと、今度は瑞季ちゃんが声を出して笑った。


「澪ちゃんって優しいんやな。」

「…え……」

「ん?何?どしたん?」

「いや、それ晴にも言われたなあって…
私大して優しくないのに…」

「何言うとるんや!澪ちゃん優しいよ!
少なくとも私やこしすぐ晴とかちゃっしゃげるよー。
あ、ぶつってことな。」

「あはは…ぶったりはしないけど…」

今のところは…

「やろ?十分誇ってええと思う。」

「うん…ありがとう。」



そんな話をしているうちに注文した料理が並べられた。

「「いただきます」」




お昼ご飯を食べ終えると、
私たちはすぐに出釈迦寺へ向かっていった。

みんなが疲れ始めている中、
私の心はいつもより軽く、ペダルも心なしか軽く感じた。




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