竜宮城に帰りたい。
「うん、うん…!
わかった、ありがとう。」
妹が電話で何やら楽しそうに話し始めたので、私はおとなしく自分の分の冷凍パスタを電子レンジに入れた。
パスタが出来上がる頃、ゆかりは私に向かって言った。
「おねえちゃん!今からさきちゃんのところに遊びにい行ってくるねー」
「え…。あ、うん。わかった…。」
何だ。
出かけちゃうのか。
妹が慌てて家を飛び出して行き、私は妹の見ていたテレビをそのまま観ることにした。
私は昔から気が弱い。
「気が弱い」なんてよく言えば「優しい」人とも言えるけど、私の場合は違う。
自分に自信がないから、意見が言えない。
だからすぐに人をイライラさせるし、要領も良くないからなお悪い。
人がやらない仕事をよくやっているのは、「他人のため」なんて高尚な理由じゃなくて、単に断れないから。
いじめられたりすることはないが、同窓会で誰だか思い出せないタイプの人間なのだ。
「はあ〜」
自分を分析すればするほど、気分が下がってくる。
自分のことを好きにも嫌いにもなれない。
こんな中途半端な気持ちで生きているから、こんな性格になってしまったのだろうか。