竜宮城に帰りたい。
「何?澪ちゃん頭えんな?」
「いや、そんなことは…」
「ちょ、こい教えて〜」
瑞季ちゃんがさっきまで晴に見せていたテキストを私に差し出した。
「えっと…ここの代入が間違ってる…と思う。
あとは公式当てはめれば大丈夫。」
「あ、そういうことか!
ありがとう。あっちゅう間に解決や!
ほんま、晴は役立たずやったわ〜」
晴はチッと舌打ちを鳴らして、無言で瑞季ちゃんの頭を叩いた。
「いった〜!何しょんの!」
「晴がすねよった。」
祐くんがそう言うと、瑞季ちゃんと一緒にケラケラと笑った。
やっぱり彼女にはいいところ見せたかったんだ…
かわいそうなことしちゃったかな…
「どしたん?」
「せっかく晴が考えてたのに申し訳なかったなって思って…」
「ハハハッ!
ほんま優しいのぉ。
ええんや、晴はいっつもクラスでなんでも一番で、ムカついとったけん。
ざまあみろや!」
「お前、言い過ぎや、アホ!」
晴が今度は祐くんの頭を叩くと、再びみんながドッと笑った。
やっぱり仲いいな。
そりゃあ子供の頃から一緒にいたんだから、
私が急に馴染めるわけない。
そんなのわかってるけど…
急に孤独を感じ、私もとりあえず笑いに参加した。
でも昨日までの居心地の良さは薄まってきていた。