竜宮城に帰りたい。



**


「はい、お昼ご飯休憩!」


時計が12時を回ると、祐くんがそう大きな声で言った。


私はおばあちゃんに持たしてもらったお弁当箱を机の上に出した。

晴以外のみんなも今日はお弁当を持ってきている。


「今日どっちゃの親もおらんけん、コンビニ行ってくる。

なんか買うもんあんな?」


晴がそう言うと、瑞季ちゃんがハイと手を挙げた。


「はい、瑞季さん。」

「私も一緒に行きたいです。」

「っ……」


一瞬言葉が出かけて、なんとか堪えた。


「あー…そ。ええよ。
澪と祐は?えんな?」

「なんか飲むもん。」
「私は大丈夫です。ありがとう…。」

「ほんだら先飯食っとって。」

「わかった」
「うん…」



晴が瑞季ちゃんと部屋を出て行く瞬間、
偶然目が合ったが、気づかないフリをして視線を地面に落とした。



晴はやはり何も言わずに、ドアをバタンと閉めた。




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