竜宮城に帰りたい。
「ほんだらみんなで食べようで。」
「うん。」
みんなお腹が空いていたから、
黙々とご飯を口の中に入れた。
それにしても意外だったな。
祐くんが晴の寂しそうな様子に気づいていなかったとは…
長年一緒にいすぎているせい?
それとも単なる私の勘違いだったのかな…
どうして…私だけが気づいたんだろう…
無心にご飯を食べる晴のことを横目で盗み見た。
やはりどこか寂しそうに私には見える。
祐くんとは親友にさえなれると思った。
瑞季ちゃんはもう一番仲のいい友達だ。
でも晴は友人って感じじゃない。
友人ではなく…
「ねぇ、晴。
明日は澪ちゃんとどこに行くんな?」
「あ?明日?あーー…
考えとらんかったけど…
また浦島伝説のとこ行こうで。
紫雲出山(シウデヤマ)。」
「浦島伝説…」
あの浜と一緒の…
「紫雲出山か!ええのぉ。
明日も楽しみや〜」
「明日の前に今日のノルマ終わらせまい。」
「は〜い。」
あーあ。
やっぱだめだな。
自分をごまかすのも限界だ。
「明日…」
「ん?何?澪ちゃん。」
「私も楽しみだな。」
私が笑顔でそんなことを言うから、
みんな一瞬呆然とした。
きっと、あの日あの場所で出会った瞬間から、手遅れだった。
叶わないのなんてわかってる。
でもいいの。
友人でなく、好きな人だと、
認めたら、何かが変わる気がする。
いいの。
報われなくていいから…
晴が好き。