竜宮城に帰りたい。



なんで今日なんだ…。


よりによって瑞季ちゃんがいないタイミング。


私は所詮代替品…ってことだよね…?



晴、私だってね、寂しいんだよ。


もし私が浦島太郎だとしたら、
絶対玉手箱を開ける。


あなたが愛してくれるなら…

老人になっても構わない。




でも、浦島太郎は私じゃない。

所詮結ばれるのはヒーローとヒロインで…

私はその辺の村人役がいいところだ。


それで我慢して、
主役のハッピーエンドを祝う。




密着する姿勢で、晴の優しい匂いが香る。

心臓が、いつもの何倍もの速度で血を送る。




だめだ。
これ以上このままでいたら確実に私が傷つく。

早く…離れなきゃ

いけないのに…。



でも…



瑞季ちゃんはいない。




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