竜宮城に帰りたい。
午前10時頃
おばあちゃんが町内会の集まりに出掛けていったあと、
晴と祐くんが一昨日までと同じように窓をノックした。
「おはよう、晴、祐くん。」
「はよー。風邪よぉなった?」
「え、あ、うん!お、おかげさまで…
みんな昨日何してたの?」
「澪おらんし、慎と礼二と瑞季も祭りの手伝いに駆り出されとったけん、結局何もせなんだ。」
「そうなんだ…。」
「今日もその3人おらんけど、澪回復したんなら遊ぼうで」
「うん。ありがとう…。」
出会ってから祐くんとの会話が終わるまで、
晴はなにも言わなかった。
やっぱりちょっとは気まずくなってんのかな。
気づかれないように晴をちらっと見ると、
猫みたいな大あくびをしていた。
「ハハッ…」
思わず笑ってしまうと、晴は涙が浮かぶ目で私をにらんだ。
そんなんじゃ全然怖くない。
「なに笑っとんねん。」
「猫みたいだなー、って。」
「うっさいのぉ。自分は豚げな顔のくせして。」
「ぶっ…!?」
「アハハッ!晴、それは言いすぎや。」
「そう言ってる祐くんだって笑ってるじゃん!!」
3人でゲラゲラ笑っていると、
すっかり晴との気まずさもなくなっていた。
いつもの感じだ。
私は内心ほっと胸を撫で下ろした。