竜宮城に帰りたい。
「んで、
準備は順調な?」
晴が食べ終わったフランクフルトの棒を近くのゴミ箱に投げ入れ、
瑞季ちゃんにそう聞いた。
「うん。今年も観光客がいに来てくれそうや。
もちろん地元も盛り上がるやろし。」
「なら、ええが。」
「ねぇね!明日澪ちゃんも来るんかえ?」
「え、うん…。
行きたいな、って思ってる…。」
「ホンマー!?やったー!」
瑞季ちゃんが子供のようにきゃっきゃと喜ぶ。
その姿を見て、私の方が嬉しくなる。
「私も売り子やっとんの。買い来てや。」
「うん!行くね。ありがとう…。」
瑞季ちゃんってすごい。
自分に自信のない私でも、好かれてるんだって伝わってくる。
怖がらずにこんなにも自分の気持ちを言えるのってすごいことだ。
私はきっと自分が好きでも、
相手には嫌われてるかもしれないとか、
いろいろ考えちゃって結局何も言えない。
あ、でも…
晴のときだけは違ったな。
私にとってあの告白は革命的なことだったのだと改めて思った。