竜宮城に帰りたい。
「おい、慎。
そろそろ準備戻りまい。」
慎くんのお父さんがそう言ったので、
「ほんだら、今日はもういのでー」
と、祐くんが気を利かせて言った。
「えっと…準備のお手伝い、頑張ってね!」
「うん、ありがと!」
「ありがとー」
「また明日な。」
お手伝い組3人とお別れをすると、
また私たちは手持ちぶさたになった。
「また俺んくで宿題でもやってまうんな?」
「せやのぉ…」
二人が頭を悩ませ、次の計画を立てている。
なんだか申し訳ないな…。
私が来る前はいつも何して過ごしてたんだろう…。
本当に、私って晴たちのこと何も知らない。
「お前、何かしたいことあんな?」
「え…」
したいこと…
いつだったか祐くんが言ってくれた。
思ったことは言っていいって。
したいことって聞いて最初に思ったこと…。
「あの浜に行きたい。」
「よっしゃ」
「ほんまお前好きやのぉ」
晴と祐くんは満面の笑顔でそう言い、
自転車のペダルを蹴った。
そんなことにさえ、
私は泣きそうなくらい嬉しくなった。