竜宮城に帰りたい。
なんてこと言うの!?
ありえない。
本当にやだ。
自己中。俺様。最低。
私のせいで丸く収まってないって言いたいの?
晴たちは仲良くやってんだから、
私の存在なんか関係ないじゃんか。
こらえようとしても、悔しくて流れる涙をぬぐい続ける。
あ、しまった。
逃げる方向間違えた。
ふと気づくと、あの夜晴が入ろうとした海にたどり着いていた。
つまりボートがある方と逆だ。
追いかけてこられたら逃げ場がない。
その時、私の背後で草を踏む音が聞こえ、
振り向くと晴が息ひとつ上がらずに立っていた。
「こ、来ないでよ…」
「……」
晴は何も言わずに、ずんずん私に近づいてくる。
嫌だ。
嫌だ!
私は陸を蹴り、海の中に入った。
晴に近づかれるより、濡れる方がましだった。