【完】斜め45℃の恋
それから何度も何度も先生は店にやって来て同じチューリップの花束を買っていく。
その時する世間話だけが楽しみだった。
教師と生徒という関係ではなくなるこの瞬間が好きだった。
時間が止まってしまえばいいのに、この店から出られなくなってしまえばいいのに。
母が作った花束を持って女性に笑いかける先生の姿が容易に想像できて胸が痛む。
でも、この日の先生はいつもと違ってスーツ姿だった。
そして買っていったのは赤いバラの花束。
--花言葉はあなたを愛しています。
少し強ばった顔、震える手から先生が今から何をしに行くのかすぐにわかった。