平成の戦争

ハルは学校帰りだった。

毎日通る通学路は、今までにも見たこともない静けさで人通りも少なく、まるで深夜の道路かのような交通量だ。



1人で帰るのが少し退屈に思ったハルは、隠し持っていたスマホを鞄から取り出し、近くの公園のベンチに座って大好きな《戦国ゲーム》を始めた。

普段趣味や特技もなく、テレビや新聞を見ないハルにとって唯一の息抜きである。




しばらく夢中になってゲームをしていると、警官が公園の入口から


「きみ!早く家に帰りなさい!外は危険だ。」


と叫ばれたので、ゲームに集中していたハルは、スマホを地面に落としてしまった。


「ちょっと、、スマホ落としちゃったじゃないか。」


ハルは警官に聞こえないようボソッと呟いた。警官はいまだハルを見ている。


そして、少年は動く気がないことを察したのか、警官はハルに近づいた。


「坊や、もしかして、今日本で何が起こっているか知らないのかい?」


ハルは何でこんな早い時間に帰らなくちゃ行けないのか疑問に思いながらも、今言った警官の言葉は、自分を帰らすための脅し文句だと思った。


「そんなことで帰らないよ?大体なんでこんな早い時間に帰らなくちゃいけないんだよ。」


ハルは呆れた顔で警官に言った。
すると、今度は警官がハルに呆れた顔で言ったのだ。


「ほんとに坊や何も知らないんだね。家に帰ってテレビ見てごらん。 」


ハルは警官の表情から恐怖や不安を感じ、しぶしぶと家に帰り始めた。



ハルは家に着くとすぐさまテレビを付けた。
そのチャンネルは、ちょうど警官が言っていた『日本で起こっていること』のようだ。

いや、しかしそれは全てのチャンネルで放送されており、ハルはその内容に衝撃を受けた。


「うそだろ...」


しかし、その言葉の中に恐怖や不安は一切なかった。
そしてハルは小さく微笑み、呟いた。


「こんな面白そうなゲーム、勝つしかないだろ。」




この大きなゲームで自分がどんな目に合うかも知らずに...

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