愛と音の花束を
1.大きすぎる手
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「永野さん永野さん、あのイケメン誰ですかっ⁉︎」
「ヴァイオリンの新しい人ですかっ⁉︎」
私が大部屋に入ると、ヴァイオリン若手女子チームが目をキラキラさせながら飛んできた。
さっき私が隣の小部屋に男性を案内したのを見ていたんだろう。
「イケメン?」
私がきき返すと、
「イケメンです!」
揃ってうなづく女子3人。
「ふぅん、そうなの」
ふむ。
彼は世間的にはイケメンなのか。
まあ確かに悪くはないと思うけど。
「永野さんてば、クールですよね〜」
「そこがステキなんですけど」
……いや別に、本当はクールではないのよ。
「彼はヴァイオリンの入団希望者」
私が言うと、彼女たちはまたキャッキャ言う。
「きゃーやったー!」
「イケメンヴァイオリニスト!」
元気だな。いや、私が歳なのか。
それはさておき。
せっかく盛り上がってるところ申し訳ないけど。
「いや、期待しない方がいいと思う。楽器経験2年だっていうから」
「…………え。」
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