愛と音の花束を


演奏会本番前日の土曜日。
私の店は大忙しになる。
通常営業しながら、大量の花束とアレンジメント製作を行うのだ。

私はまず、カーテンコールで指揮者へ渡す、大きな花束を作る。

客席から見て映えるように鮮やかな色づかいにし、かつ上品になるよう、結構前から構想を練ってきた。

早瀬先生への感謝をこめて。
そして、これからの活躍へ期待をこめて。
彼女には、将来プロオケを振るような指揮者になってほしい。


そして、団員からオーダーしてもらった花束やアレンジメントを作る。大量なので、さすがにみんなに手伝ってもらう。

ただ、椎名の分は、なんとなく、私が作った。

リクエスト通り、ピンクと白の花で、持てるセンスを振り絞り、甘いけれどもスタイリッシュなバランスを追及してまとめていく。

彼はよく頑張った。

本番でそれが報われますように。
感動を味わえますように。
笑顔で終われますように。
みんなと喜び合えますように。
オケが楽しいと感じてくれますように。
そして、ずっとこのオケで弾いてくれますように。
< 110 / 340 >

この作品をシェア

pagetop