愛と音の花束を
何とか心を落ち着け、ゲネプロ開始。
オルガン付は、数回のホールリハでしか合わせられなかった、オルガンとピアノが入る箇所を重点的に。
市内中心部、駅近くにあるこのホールは、収容人数約1000人とそれほど規模は大きくないものの、国内屈指の音響の良さを誇る。
ただ、さすがにパイプオルガンはついていないので、電子オルガンを使う。
演奏していただくのはプロの方。
さすがに修正能力が高くていらっしゃる。
指揮者の要求にすぐに対応してくるし、オケにも合わせてきてくださる。
そして、意外に修正能力が高い人がもうひとり。
……椎名だ。
ホールのステージ上で弾くと、いつもの練習場所である公民館と違って、隣の人との距離はあるし、他パートとの時差はあるしで、慣れるまでは合わせて弾くのに苦労する。さらに今回は椎名のすぐ近くでピアノがガンガン響く。(ヴァイオリンの後ろの方、ファーストとセカンドの間にグランドピアノが挟まる形。ちなみに電子オルガンは、チェロとヴィオラの間。)
椎名もホール初心者の例にもれず、リハでは遅れたり突っ込んだり走ったり、随分ハラハラさせてくれた。
ところが、リハ後半になるにつれ、また、回を追うごとにつれ、揃えてきた。
そればかりか、樋口さんと一緒に、しっかり後ろから音を飛ばしてくるようになった。
目立つのも構わずにトライする度胸、感覚を掴んでいく勘の良さ、……すごいと思う。