愛と音の花束を
「ありがとうございます、椎名さん、助かります」
「なんのこれしき。逆に光栄です」
駐車場まで、三神君と椎名と私の3人で歩く。
三神君は大きな紙袋を、椎名には三神君への花束入りダンボールを持ってもらっている。
「永野さんも、すみません」
私は二人の礼服を持っている。
「結花ちゃん、結局手伝えなくてごめん」
「僕もいつも頼りっぱなしですみません」
「別に、これが仕事ですし、気にしていませんから。それより、次回はきっと搬入口に車つけて花束積み込まないとダメですね」
三神君は苦笑。
そうして駐車場に着き、三神君の車に荷物を積みこむ。
「お二人は打ち上げは……」と三神君。
この後、近くのお店で打ち上げがある。
私は不参加。
「申し訳ありませんが、明日朝早いので、ここで失礼します。お疲れ様でした。お二人は楽しんできてください」
私が頭を下げて自分の車へ向かおうとすると。
「あっ、呼び出しが」
三神君がスマホ画面を見てそう言う。
「じゃあ椎名さん、僕は一足先に行ってるんで。永野さんのこと車まで送ってあげてくださいね」
は?
車、すぐそこだけど。
「お疲れ様でした。ゆっくり休んで下さい!」
三神君はヴァイオリンケースを肩にかけ、早足で歩き去っていった。