愛と音の花束を
早瀬先生、強い!
あんなにタジタジになってる三神君、初めて。年相応でちょっとかわいい。
早瀬先生はピアノを弾く手を止め、さっき偶然三神君の彼女(予定)と遭遇した、と話してくれた。
「いつもスカしてる彼が焦る姿、当分思い出し笑いできるわ」
「仲が良いんですね」
「彼のことを知ったのは小学生の時で、顔を合わせて話したのは中学生のコンクールの時。そこからの付き合いですから」
……私と大して変わらない付き合い歴なのに、あの親しさは早瀬先生の人柄だと思う。
「そうそう。先週の演奏会では素敵な花束をありがとうございました。永野さんが作ってくださったんですって? 私の好みをわかっていただけていて驚きました」
「いえ……」
そんな大したことはありません、と言おうとして、思い直し、
「そう言っていただけて嬉しいです」
と答えると、彼女も嬉しそうにうなづいてくれた。
……やっぱり恥ずかしい……。
「ピアノ、お上手ですね」
話題を変えると、彼女は照れ臭そうに微笑んだ。
「ありがとうございます。父も母もピアノを弾く人で、私も物心つく前から弾いてたので。10歳でヴァイオリンに転向したけれど、ピアノを弾けて損はないからと言われて、細々と続けていたの」
その時、ドアが開いて、三神君と羽生さんが姿を見せた。
「お待たせしました。始めましょう」
あんなにタジタジになってる三神君、初めて。年相応でちょっとかわいい。
早瀬先生はピアノを弾く手を止め、さっき偶然三神君の彼女(予定)と遭遇した、と話してくれた。
「いつもスカしてる彼が焦る姿、当分思い出し笑いできるわ」
「仲が良いんですね」
「彼のことを知ったのは小学生の時で、顔を合わせて話したのは中学生のコンクールの時。そこからの付き合いですから」
……私と大して変わらない付き合い歴なのに、あの親しさは早瀬先生の人柄だと思う。
「そうそう。先週の演奏会では素敵な花束をありがとうございました。永野さんが作ってくださったんですって? 私の好みをわかっていただけていて驚きました」
「いえ……」
そんな大したことはありません、と言おうとして、思い直し、
「そう言っていただけて嬉しいです」
と答えると、彼女も嬉しそうにうなづいてくれた。
……やっぱり恥ずかしい……。
「ピアノ、お上手ですね」
話題を変えると、彼女は照れ臭そうに微笑んだ。
「ありがとうございます。父も母もピアノを弾く人で、私も物心つく前から弾いてたので。10歳でヴァイオリンに転向したけれど、ピアノを弾けて損はないからと言われて、細々と続けていたの」
その時、ドアが開いて、三神君と羽生さんが姿を見せた。
「お待たせしました。始めましょう」