愛と音の花束を
「それから、ストレスはためないこと」

……簡単に言うね。

椎名は私の心の中を見透かしたように、続けた。

「といっても、ストレスを感じるなというのは難しいと思うので、自分なりに解消できる方法を持っておくことをおすすめします。入浴とか友達とおいしいもの食べるとか」

環奈の顔が浮かんだ。

「次は寝る時の話です。枕はどういったものを使われてますか?」

「……普通の、ですが……」

「使って何年くらいになりますか?」

「……5年です」

前の枕を取り替えたきっかけは、よく覚えている。
付き合っていた彼と別れてから、毎晩泣いた時期があって、カビたのだ。

「ふむ」

椎名は椅子ごとこちらに向き直り、真面目な顔で言った。

「……では、これから、友人の歯科医師として、最もお金がかからない治療法を提案します」

何だろう。
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