愛と音の花束を
120分があっという間だった。

終わった時には、身体が軽く、ポカポカして、今までが重くて硬くて冷えていたということに気づいた。

「すごいです……ありがとうございます」

石浜さんに感動を伝えると、

「よかったです。でも実は、もう少し時間があればほぐしきれる場所がいくつか残っているんです。ごめんなさい」

と正直に打ち明けてくれた。
次に繋げる営業トークというよりは、きちんと説明してくれる誠実さを感じて、好感が持てる。

「いえ……最近、身体のことメンテナンスしていなかったので、頑固でしたよね」

「ふふ、そうですね。いろんなこと溜め込んでる身体かなぁって思いました。身体と心は繋がってますから、心もつらくなかったらいいんですけど」

……心も、つらかったんだろうか。

確かに、今の私は、はっきり言って、ここ最近で一番の上機嫌である。

「今後も、宜しければ気晴らしも兼ねていらしてくださいね。では、ゆっくり身支度を整えていただいて、落ち着いてから待合室へいらしてください。お茶をご用意してますので」


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