愛と音の花束を

私は建物の外に出ると、うーん、と伸びをした。

これでいい。頑張った。鼻がツンとするのは気のせい。見上げた空の雲が霞むのも気のせい。さ。帰って仕事。仕事終わったらヴァイオリン弾こう。やることがたくさんあるのはありがたい。そうする間に傷は癒えていく。

『昼間でも、空には見えない星がたくさんあって、そばにいてくれるから』

ほら、現に今、そう言ってくれた昔の彼を懐かしく思い出せる。

だから、大丈夫。
きっと、大丈夫。








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