愛と音の花束を

「どの星で三角形なんだっけ?」

椎名の問いに、夜空を指差しながら答える。

「デネブ、アルタイル、ベガ」

「全然わかんない。もう一回」

「あそこらへんに、明るくて目立つ星が3つあるでしょう? 頂点にあるのが……」

「同じ目線で見たら分かるかな?」

「……っ‼︎⁉︎」


心臓が止まるかと思った。


私の両肩に、後ろから椎名の手が置かれて、

しかも、

椎名の顔が、私の顔のすぐ横に来たからだ。

もう少しで頬が触れそうなほど、近くに。


私と目線の高さを合わせるためだとは分かった。

頭では分かったけれど。

触れられた肩が熱い。

そこからあっという間に熱が身体中を駆け巡る。

心臓の音が鳴り響く。

顔が熱い。

強烈すぎる幸福感に、目が潤む。



–––––––このまま、抱き締められたい。



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