愛と音の花束を

ついに終楽章。
類稀なる推進力と評されるこの楽章は、熱に浮かされたように突進し続ける。

シューベルトが若いなか、情熱を傾け、命を削るようにこの曲を書いたのが伝わってくる。

弾いてみると彼の情熱がこちらに乗り移ってくるようで、熱くなるし、楽しいし、感動して、たまらない気持ちになる。

曲はコーダへ。
疲労はたまっているけど、いける。弾き切れる。マッサージ店の無愛想だけど腕は確かな店長に感謝。

二分音符C（ド）フォルツァンド4つ！
聴いていてもすごく印象的なこの部分、弾いていてもとても気持ちがいい。
G線（一番太い弦）をダウンでゴリっと、しかもヴィブラートをかけやすい3の指（薬指）で弾ける。
他はひたすら細かい音符を弾いてるだけに、この二分音符の解放感といったら！


ドラマティックな強弱を経て、
ラストの一音、
C（ド）フォルツァンド！




鳴らし終わると、
大きな拍手の中で、
また、「ブラヴォッ！」が聞こえた。

……幻聴も3度目となると、自分の耳と、現実と、どちらを疑えばいいのだろう。

見えるはずはないのに、客席を見てしまう。

何度も一緒にプロオケの演奏会に行って、隣で聞いた、特徴あるスタッカートのブラボー。

……まさか。